Physarum 粘菌

「跡を残す」「跡をたどる」という局所的なやり取りから、全体のネットワークが生まれる。粘菌に着想を得た粒子モデルの実験場です。

使い方

粘菌と、このモデルの関係

真正粘菌 Physarum polycephalum の変形体は、多数の核を持つ一つの細胞として広がり、輸送ネットワークを形成します。この画面の粒子は独立した粘菌の個体ではなく、集団的な輸送や走化性を表す計算上の要素です。

Jeff Jonesの粒子ベースの研究に着想を得て、3方向の感知、旋回、移動、化学物質の放出、拡散・減衰を組み合わせています。本ページは仕組みを体験するための独自の簡略実装で、論文の全条件を再現したものではありません。

一つの粒子がすること

  1. 進行方向の前方と、左右に角度を付けた位置で化学物質の濃度を読む。
  2. 前方が最も濃ければ直進。左または右が濃ければ、その方向へ旋回する。前方が両側より薄ければ左右どちらかにランダムに旋回する。
  3. 1格子分進む。移動先が壁・境界・別の粒子にふさがれていたら、その場で向きを変える。
  4. 移動に成功した位置に化学物質を放出する。

濃い跡に粒子が集まり、そこへさらに跡を残す正のフィードバックと、拡散・蒸発による平滑化と忘却が同時に働きます。粒子同士が全体の地図を共有することはありません。

化学物質の更新

C̃ = C + 粒子の放出 + 餌からの供給
C次 = (1 − e) × [(1 − d) C̃ + d × 近傍平均(C̃)]

d は拡散の強さ、e は1ステップ当たりの蒸発率です。近傍平均には自身と周囲8格子を使います。壁の内部は濃度0とし、壁・外周との境界では流出を抑えます。感知の際も壁の向こう側を直接読まないようにしています。

計算は360×360格子、通常速度で1秒当たり30ステップを目標に進みます。処理が追いつかない端末では実時間より遅くなります。粒子数は一定で、繁殖・死・遺伝・進化は扱っていません。

パラメータで何が変わる?

試してみる実験

  1. 網目が育ったら一時停止し、消しゴムで一本の跡を横切るように消す。再開すると、同じ道が戻るか、別の道ができるか?
  2. 餌場の一つを消し、別の場所に置く。以前の跡が残る時間は、蒸発率によってどう変わるか?
  3. 餌への通り道に壁を描く。隙間を開けたとき、どのような経路が育つか?

ネットワークができても、最短経路や最適解を保証するものではありません。「餌場を結ぶ」は観察のテーマで、すべての餌場が必ず接続されるという意味ではありません。再編成の結果は初期配置とパラメータによって変わります。

参考文献

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